神棚には神様がお住まいになります。
すでに神棚がある、または引っ越し等で新たに神棚を設ける。どちらの場合も、神棚のある場所をいま一度、神様にとって居心地の良い場所であるか、確認してみましょう。
会社でも家庭でも、まず、出来るだけ明るく清浄で、人の目線よりも高い場所を選びます。
会社の場合はその会社の人が、家庭の場合は家族がお供えや拝礼をしやすい場所であることも大切な条件です。
ただし、ドアの上など、人が下を通る場所は避けてください。
神道の世界では不浄をもっとも忌み嫌いますから、トイレの近くなども避けたほうが良いでしょう。
神棚の正面が東か南を向くように設置します。
会社の場合で、設置場所の候補が幾つもあるときには、その場所の長となる人(本社であれば社長、支社であれば支店長など)の席に一番近い場所が適切です。
神棚に日々の感謝や祈りを捧げることで、そこに集まる人の心に秩序が生まれ、和が保たれると言われています。長となる人がまず自ら神棚の前に立ち、神様への感謝の気持ちを示すことで、その人の元で働く人々の心にも互いに感謝する気持ちが宿り、心地よく日々の仕事に励むことが出来るようになるのではないでしょうか。
神棚をまつる部屋が決まったら、部屋の大きさから、棚板の大きさを決めます。
その後、棚板の大きさにあったサイズのお宮、神具を揃え、神社から頂いた神札をおまつりします。
神棚は目線よりも高い場所に設置されるので、目の高さで選んで購入した場合、まつってみると思っていたよりも小さく見えてしまう場合があります。
見た目でちょうどよいと思うものよりも一回り大きいお宮を選ばれると良いかもしれません。
神札を納める宮形には、神札を入れる箇所は、一箇所のものと三箇所のものが多く見られます。
大型のものは、五箇所、七箇所のものもあります。
神棚の扉が一箇所の場合は、一番手前に神宮大麻、次に氏神、次に崇敬する神札を重ねて納めます。
神棚の扉が三箇所以上の場合は、中央に神宮大麻(天照皇大神宮)、向かって右に氏神様、向かって左にその他の崇敬する神社の神札を納めます。
神札を神棚におまつりすることは、私達がいつも神様の御加護をいただいていることに感謝し、
国や郷土を愛し大切にすることの表明であると言われています。
お客様の幸せを願い、地元のため、国のため日々努力を続ける会社とそこで働く人々を、神様はきっと末長く見守ってくださることでしょう。
神棚の正面には天照大御神の魂とされる神鏡をまつり、左右に一対の榊立と榊を配置し、注連縄をかけます。
注連縄は神聖な場所であることを示すものです。
太い方を神棚に向かって右になるように取り付け、四垂れの紙垂を等間隔に挟みます。
他に、蓋つきの器「瓶子」(へいし)を一対、こちらには酒を入れます。
「土器」(かわらけ)は米や塩などを盛るための器です。
「水器」(すいき)は水を入れるための器です。他に、神前を明るくするために「神燈」(しんとう)も一対用意するとよいでしょう。
神燈は、神社の燈籠と同じ役割になります。
神具はいずれも神具店でお求めいただけます。
神道では「物」と「心」を共に整えることを最上とするため、神様への日々の給仕となる神饌(お供え)は重要な意味を持っています。
神饌(お供え)は、洗米(またはご飯)、塩、水、酒が基本となります。
ほかにも、青果物や生魚、干物、菓子類などを供えることもあります。
四季の初物や到来物があった場合は、折につけ供えます。
米、塩、水は毎朝、酒および榊は月に2度、1日と15日に新しいものと取り換えるのがよいとされていますが、
榊は枯れてきた場合はこまめに取り替えることも必要です。
他に、祀っている神札の祭神にゆかりの日がある場合は、その日に取り替えます。
供えた食べ物は神様の御霊がこもると言われており、捨てずに後でお下がりとしていただきます。
饌を供えたら、日頃の神様のご加護に感謝し、これからの家庭または会社の安泰と幸福を祈ります。
会社で契約の成立や業績の上昇などの喜び事があった場合は、その旨を神様に奉告します。
神拝(しんぱい)の作法は、神社参拝の作法と同様で、「二拝二拍手一拝」です。
より丁重にお参りしたい場合は、二拝してから祝詞を奏上し、その後に「二拝二拍手一拝」を行う方法もあります。
祝詞には、代表的なものに神棚拝詞があります。
毎日の神拝は、出来れば長となる人だけではなく、家族全員、従業員全員が行うことが望ましいとされています。
そこに集う一人ひとりが、自分達の日々の努力を神様が見守っていてくれると感じ、感謝と畏敬の念を持つことが出来れば、
その家族や会社はきっとますます繁栄することでしょう。